写真は今日行ってきた護国寺の仏像です。
「仏像」を思い浮かべると、写真のようにそれは優しそうでふくよかな印象をお持ちの方が多いことと思います。
お寺の仏像から有名な大仏に至るまでその姿は同じですが、これは中国へ伝来してからのものであって、元々の仏像はそれとは違う姿をしていました。
そもそも初期の仏教に偶像崇拝の習慣はありませんでしたが、数百年間に渡ってインドを統治したギリシャ人の造形技術に影響を受け、仏像が誕生したともいわれています。
このような初期の仏像を日本では「ガンダーラ仏」といいますが、ギリシャ彫刻のような彫りの深い顔立ちをしているのはこれが理由なのです。
そして仏像は徐々に仏教の実情を表すようになりました。
インド仏教も8世紀に入る頃にはヒンドゥー教に押されて衰退してしまいましたが、その時代の仏像を見ると、どこか厳しげな表情が目に入ります。
また、痩せたその姿は、異教徒からの迫害によって仏教が密教化していったことを暗に示しているのではないでしょうか。
一方で中国に伝来した仏教は儒教の思想を取り入れたことで、より中国文化に根付いた宗教へと発展したのです。
インドとは逆に、アレンジを加えた中国の仏教は半ば国教として広く支持され、安定の時代を謳歌していました。
私たちが普段目にするような仏像は、まさにこの時代に完成したといえます。
日本に仏教が伝来したといわれるのが6世紀で、それから1500年以上も仏像はその姿をほとんど変えていません。
つまり何を言いたいのかというと、それだけ日本では仏教が永く信仰されているのです。
仏像は廃仏毀釈や西洋化を経て、無宗教が多いとされる現代にあってもなお、日本人にある仏教的価値観の不変を表しています。
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