1991年のソ連崩壊で、事実上アメリカが世界唯一の超大国になりました。
しかし、そのアメリカもライバルを失ったことで弱体化し、様々な問題が世界規模で起こっています。
中東諸国での独裁政権の打倒まではアメリカの思惑通りだったのですが、統制能力が弱まったことでタリバンやISISのような原理主義組織の台頭を許してしまいました。
結果として、多くの移民や難民が周辺国やヨーロッパに押し寄せ、受け入れ各国で排外主義が蔓延しつつあるのが現状です。
しかし、私はそのような社会情勢の中でも日本は移民を受け入れるべきであると強く思っています。
その理由について書いていきたいと思います。
第一に、少子高齢化を是正して現役世代の負担を減らす必要があるためです。
日本の人口ピラミッドを見ると、40代と60代に大きなボリュームがあることが分かり、その形はピラミッドではなく壺のように見えます。
これはすなわち70代以上の高齢者と30代以下の層が比較的少ないということを意味するわけですが、現状では出生数は毎年のように減少し続けています。
このままの状態で行くと、10年後には若年層が先細りを続けて前述の2大ボリュームが50代と70代になるので、逆ピラミッドに近い形になるでしょう。
そうなれば、現役世代が高齢者を支える現状の年金制度では、おおよそ1人の高齢者を1人の現役世代が支えることになります。
果たして、その状態でどうやって日本社会は維持するというのでしょうか?
反論として「少子化対策をして出生数を増やせば良い」といった意見がありますが、例えばドイツでは日本以上に子育て世帯への手当てが手厚いにも関わらず、出生率は日本とそれほど変わりません。
更にいえば、仮に出生数が増えたとしても彼らが支える側になるまでには最低でも20年は必要であり、それでは目下の社会問題である少子高齢化を是正するには時間が掛かり過ぎます。
以上の問題は移民を受け入れることで解消が期待できます。
断っておきますが、ここで申し上げる移民とは合法的に滞在している移民であって、難民や不法移民は指していません。
カナダやEU諸国では難民の受け入れにも積極的ですが、それは移民受け入れの歴史が長いことから可能なのであって、移民の少ない日本では難民を受け入れて定着させるためのノウハウに乏しいので、積極的に受け入れるべきではないと考えています。
就労ビザの枠を広げて、より多くの外国人を受け入れることが可能になる未来が私の考えです。
そして、労働人口の縮小を抑える必要があるというのが、移民を受け入れるべき第二の理由です。
介護職や医療従事者の不足が問題になりつつあるのが現状ですが、労働人口が年々縮小している以上は将来的により深刻になっていくことが予想できます。
また、介護離職や介護殺人を防ぐためにも介護の負担を減らすことは不可欠であり、今後はそうした人材を海外から大規模に受け入れることが必要になるでしょう。
ロボットやAIの技術が急速に発展してきているとはいえ、少子高齢化はそれ以上に速いスピードで進んでいるので、技術者でもないのに技術に盲信するような現実逃避はやめるべきです。
さて、移民受け入れによって考えられるデメリットとしては治安の悪化が挙げられます。
言葉や文化習慣の違いから問題を起こす移民も少なくないでしょうから、残念ながら治安の悪化は避けられません。
しかし、個人的には現状のままでも治安は悪くなっていくと考えています。
というのも、日本経済を支えている内需は人口減少によって縮小するわけで、結果として貧困層の割合が増えて犯罪に手を出しやすい環境が生まれます。
例えば通り魔などはどうしようもありませんが、自分自身を守るために心掛けることで盗難や窃盗といった犯罪を未然に防ぐことは可能です。
今後はこうした自己防衛力が試されるのではないでしょうか。
ここまで、移民を受け入れるべき理由について書いていきました。
いずれにしても少子高齢化は避けられない課題であり、私たち国民一人ひとりが真剣に考えなくてはならないことだと思っています。
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